青春プレイバック  今回が最後です。今まで読んでもらってありがとうございます。


     カッコーの巣の上で

ある日曜日、二人で映画を観に行く事になった。

やっとデートらしいデートができると胸を躍らせた。

「A駅を○時××分発の後ろから2両目に乗っているから」

待ち合わせ場所は、電車の中。

私が乗車する二つ前の駅からS君は乗ってくるはずだった。

しかし、姿はなかった。

混み合ってみつけられないこともあるし、車両を間違える事もあるし

目的の駅のホームでは必ず会えると信じて疑わなかった。

駅に降りて、周りを見渡してもS君の姿はなかった。

乗り遅れたのだろうと思って、次に来る電車を待った。

そして・・・もう1本。やっぱり姿が無い。

人がホームから出口に向かって流れていく。そんな中ぽつんとたたずむ私。

どうしようと思いながらも足は地下鉄の連絡通路へ向かっていた。

映画館の場所はわかっていたので、とにかくそこまで行ってみることにした。

映画は「カッコーの巣の上で」。納屋橋近くの名宝会館だったと思う。

ひょっとしたらチケット売り場の所で待っていてくれるような予感もしていた。

でも結局は、生まれてはじめてひとりぼっちで映画鑑賞することとなった。

どうしたのだろう?やはり不安に思って落ち着かないがじっと大スクリーンをみつめていた。

「ふ・ら・れ・た」

映画を観終わった頃には、この4文字が頭の中をグルグルまわっていた。

今までの付き合い方もどこかよそよそしかった。いつの間にか嫌われていたのかも。

もうマイナスの事ばかり考えながら、悲しみを抱えて家路を急いだ。

夜遅くに電話が掛かってきた。S君からである。

「もう会わないから、絶交する」と一方的に言って私は電話を切った。

言い訳は、一切聞きたくなかった。


この時、なぜこんなにもかたくなな態度にでたのかわからないのだが、事実そうだった。

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