カッコーの巣の上で(2)


それから数日経ったある日の放課後、旧クラスメートから呼び出しを受けた。

さすがに体育館裏ではなかったが、少し怖かった。

普段はさっぱりとして面倒見のいい彼女なのだが、この日は様子が違っていた。

「あのさ〜S君から聞いたんだけど、うまくいってないの?」と彼女。

「・・・・・・」

「映画をすっぽかした理由知っている?」

「知らないけど」

「お母さんがね。倒れたのよ。以前から悪くて急に手術を受けたの」

「・・・・・・」

「どうして話を訊いてあげなかったの」

「・・・・・・」

頭をかなづちで殴られるということは、こういうことだ。

あの日、そんな大変な事があったなんて、夢にも思わなかった。

私はなんてひどい事をしたのだろう。

情けない、とにかく情けなくてしょうがなかった。

でも、わざと平静を装って、終始無言のままその場を立ち去った。

S君に謝りたかった。でも今さら、何て言えばいいのだろう。何ができるだろう。

一度口にした言葉は、もう取り消すことはできないのだ。

考えた末、これで嫌われたらしょうがないと思って、何もアクションを起こさなかった。




そして

別れを告げる手紙がS君から届いたのは、その3日後だった。

カッコーの巣の上で
1975年
 ミロス・フォアマン監督 
ジャック・ニコルソン主演


精神異常を装って精神病院に入った主人公。
彼が目にしたのものは、日常行われている病院側の
非人間的な管理体制だった。

カッコーは、自らの巣を持たず、他の鳥の巣に卵を産み、
その鳥に卵を育てさせる。

この話と映画の内容とは、直接関係ありません。           2006・5・18

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