青春プレイバック・・・・・・・この話はほとんど事実です。少し大げさですが。


バレンタイン・キッス


バレンタインデーの慣習が始まったのは、中1の頃である。

男の友だちが多かった私は、毎年、頼まれチョコをよく贈っていた。

その状況から脱出したのは高2の時で、相手はトランプ仲間のS君。

トレンチコートの襟を立て、流行のマディソンバックを提げてバスで通学していた。

気合を入れたチョコは、不二家チェーンで選んだのだが、どんなものだったか全然覚えていない。

ただ自分には不釣合いな、花柄のかわいらしい紙袋に入れて当日は、誰よりも早く登校したのだった。

本人に直接渡すなんてとんでもない。考えただけでも恥ずかしかった。よくミスタードーナツへ寄り道を

したことはあったが、二人だけになったことはなかった。

彼の下駄箱にその紙袋をしのばせ、間違えると大変なので何度もスリッパの記名を確かめた。

あえてメッセージカードを入れずにいた。何を書いて良いのかわからなかたし、名前がなくても

勘のいい人だからすぐ私だとわかると過信していたのだった。

何かしら連絡があると私は待っていたのだが、音沙汰はなかった。

同じクラスなので、彼の様子をずっと伺っていた。

まさか・・・

隣の下駄箱のK君が横取りしたかもしれない。気味悪がってチョコは捨てられてしまったのだろうか。

いくらなんでも名無しの贈り物はまずかったのか・・・と反省と後悔の日々が続いたのだった。


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